2025/12/25
生活コラム
カンボジアで妊娠・出産・育児する日本人向け完全ガイド|病院・手続き・子育て環境まで【保存版】
異国の地・カンボジアで迎える妊娠や出産、育児は、楽しみな気持ちと同時に、戸惑いや不安を感じることもあるかもしれません。このコラムでは、現地での生活を少しでも安心して過ごすために、知っておきたいポイントをわかりやすくまとめています。
カンボジアでの妊娠生活
2. 妊婦検診の流れとスケジュール
日本と共通している検診の内容
1.妊娠初期(6〜12週)に初診を受ける
2.妊娠中期・後期に定期的にチェック
3.超音波(エコー)、血圧・体重測定、尿検査、血液検査などが行われる
4.母体と胎児の健康管理が目的
妊娠週数ごとの目安(カンボジア私立病院例)
※施設やパッケージによって多少前後します。
| 妊娠週 | 検診内容(一般的) |
|---|
| 6〜12週 | 初診、血液検査、超音波で心拍確認、既往歴確認、栄養指導 |
|---|
| 12〜20週 | 超音波で胎児発育確認、血圧・尿検査、生活指導 |
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| 20〜28週 | 胎児の位置・成長チェック、貧血・血糖検査、母体体重管理 |
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| 28〜36週 | 定期健診頻度増加(2〜3週ごと)、胎児異常・羊水・胎位チェック |
|---|
| 36週以降 | 週1回健診が一般的、出産準備、入院説明 |
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3.妊娠中の生活と健康管理(カンボジアと日本の違い・共通点)
日本では、母子健康手帳を用いた体系的な妊婦健診制度が整っており、妊娠期間中に14回前後の健診を受けることが一般的です。超音波検査や血液検査も定期的に行われ、医療設備や専門職による管理がとても充実しています。
一方、カンボジアでは保健センターや助産師が中心となって母子保健を支えています。国の指針として最低4回以上の妊婦健診が推奨されており、必要最低限のケアを確実に届けることが重視されています。また、都市部と農村部では医療へのアクセスや設備に差があります。
栄養面
日本では栄養状態が比較的良好であるため、妊娠中の体重増加や栄養の摂り過ぎに注意が向けられることが多いですが、これに対してカンボジアでは、妊婦の貧血や栄養不足が課題となりやすく、鉄分や葉酸のサプリメントが公的に配布されるなど、不足を補う対策が取られているそうです。鉄分や葉酸が母体の健康維持と胎児の正常な発育に重要である点は、カンボジアと日本は共通しています。
生活環境
日本では四季があり、季節ごとの体調管理や冷暖房の調整が必要であるのに対し、カンボジアは年間を通じて高温多湿であるため、脱水や熱中症、蚊を媒介とする感染症への注意が特に重要となります。また、飲料水や食品の衛生管理についても、カンボジアではより慎重な対応が必要です。
社会的・文化的な側面
日本では妊婦本人が主体となって妊娠管理を行う傾向が強く、核家族の中で医療機関を中心に出産準備が進められていますが、カンボジアでは家族や親族の関わりが非常に強く、妊娠や出産は家族全体、あるいは地域の出来事として受け止められることが多いです。この点は文化的な違いであるが、妊婦を支えようとする姿勢そのものは共通しています。
このように、医療体制や生活環境、社会的背景には違いがあるものの、母体と胎児の安全を最優先に考え、定期健診を受け、栄養と休養を大切にし、安全な出産に備えるという基本的な考え方は、カンボジアと日本の両国に共通していると言えます。
出産について知っておきたいこと
日本人がカンボジアで出産する場合に知っておくポイントをまとめました。
① 出産する医療施設の確認
・都市部の病院や私立病院を選ぶとより安心
・産科医が常駐しているか
・緊急時(帝王切開・輸血)に対応できるか
・英語での対応が可能か.
② 医療費と海外医療保険
・医療費は原則自己負担
・妊娠・出産が補償される海外医療保険に加入
・帝王切開や新生児治療で高額になる可能性あり
・英語で症状や希望を伝えられる準備
・通訳サービスの有無を事前確認
④ 出産後のサポート体制
・入院期間が短いことが多い(自然分娩で3泊4日くらい)
・産後に休める環境を事前に準備
・授乳や育児の相談先を確保
⑤ 日本への届け出・手続き
・出生届・国籍取得の手続きが必要
・日本大使館・領事館での届け出を忘れない
※在カンボジア日本大使館
産後の生活とサポート
<赤ちゃんの予防接種を受ける>
カンボジアでは、政府が定める定期予防接種プログラムがあり、赤ちゃんが生まれた後すぐから複数のワクチンを受けられます。基本的には保健センター(Health Center)や病院で受けられます。
基本のワクチン
・生後すぐ(出生日〜24時間以内):B型肝炎・BCG(結核)ワクチン
・6週〜14週まで:DTP(ジフテリア・破傷風・百日咳)・ポリオ・ロタウイルスなど複数回
・9ヶ月頃:麻しん・風しん(MR)など
(国の計画や状況に応じて変更されることがあります)
※最近はロタウイルスワクチンも全国導入され、6週・10週に接種します。
カンボジアのワクチンカード
ワクチン接種日を記載
成長曲線 接種の受ける場所
1.保健センター(Health Center)
最も一般的な場所です。各地域にあり、国のワクチンスケジュールに沿って赤ちゃんの予防接種を行っています。
2.病院(公立・私立)
都市部の病院では、予約や専門スタッフによる予防接種も可能です。日本語対応があるクリニックもありますが、基本は英語やクメール語が中心です。
<仕事の休み・産休制度(カンボジアの法律)>
働くママにとっては、出産前後の休暇の取り方や期間が気になるポイントです。
産前・産後の休暇(産休)
労働法で女性従業員は**合計90日間の産休(出産休暇)**を取得できます。
産前開始でも産後開始でも利用可能
法律上、復職前の準備や産後の回復を含めて柔軟に取れるとされています。
産休中の給与
勤続1年以上の従業員は、産休期間中に賃金の50%が支払われます(雇用主負担)。
社会保険制度(NSSF)に加入している場合、追加的な補助が受けられる場合があります。
休暇中の保護
産休中に解雇されることは基本的に禁止されています。
子どものケア休暇(追加)
病気や健康上の不安がある赤ちゃんのために追加の休暇を取れる場合もあり(例:15日程度の特別休暇制度など※企業による)。
育児休暇
法律では明確な育児休暇制度(日本のような長期の育児休暇)は規定されていませんが、
近親者の事由で最大7日間の特別休暇を請求可能です(出産関連も対象になることがある)。
ママと赤ちゃんの体調が最優先ですので、できる限りゆっくり休み、会社に相談をしながら在宅勤務や業務調整することが大切です。
カンボジアでの育児
日本人がカンボジアで育児をする場合、日本とは文化や社会制度、子育て支援の仕組みが異なるため、事前に現地の環境を理解しておくことが大切です。
日本では公共の場所へ行くと子供を静かにさせないといけないような雰囲気がありますが、カンボジアでは地域社会や家族のつながりが育児の大きな支えとなっており、レストランや公共の場でも子どもを自然に受け入れる雰囲気があるなど、子どもにやさしい社会的な風土が感じられます。
こうした文化は、日常の育児に安心感を与えてくれます。
プノンペン在住の日本人・外国人コミュニティでは、SNS(Facebookグループなど)を通じて幼児教育・学校情報の交換、子育て相談をする人が多いです。幼稚園〜小学校の保護者同士で集まり、情報交換や交流会を開催しているケースもあります。
・子育て・親向けコミュニティ
CamboKidz(カンボキッズ)
プノンペン在住の親(外国人・混合家庭・ローカル含む)のための 子育て情報サイト&フォーラム。
活動情報、幼児向けイベント、教育・健康・娯楽情報などが共有されています。
フォーラムで質問や意見交換も可能です(投稿には会員参加が必要)。
・外国人(特に英語圏)向けグループ
Phnom Penh Mamas
プノンペンに住むお母さんたち(父親も参加可)が、育児・生活情報を交換するグループ。子ども用品の売買や情報交換にも使われています。
・日本人向けコミニュティ
プノンペン公民館
毎週水曜日にベビー会を開催しています。
日本の学童のように、小学生の子供たちが学校を終えてから様々な活動や取り組みをしていて、子供の成長にとってとても良い環境が整っています。
他にもFacebookなどで「プノンペン 子育て」「日本人 カンボジア 在住」などで検索するとグループが見つかります。
また、現地で参加できるイベント・ワークショップJapanese International School Phnom Penh(JISPP)の親向け講座があり、親同士の交流の機会になります。(JISPPでは育児セミナー・ワークショップが開催されることもある)